昔の私は、心から笑う事は無かった。笑えなかった。どこか冷めている自分に自己嫌悪になったりもした。
 
 
 
 その日も紗英ちゃん家で遊んで帰る時が来た。 またね、と手を振り家を出る。後ろから足音が聞こえ振り返ると中原朱が足早に追って来た。
 
 
 
『家まで送るよ』
 
『いらない!!』
 
『もう暗いし危ないから』
 
『いいって言ったでしょ!!』
 
 
 それでも私の隣りにいる。その行動にイラ立ちついついキツい口調で応えてしまう。
 
 
 
 私は素直じゃ無かったから、ありがとうって可愛く言えなかった。最近変質者が多いから心配してくれた事分かっていたのに。それでもいつも私を送ってくれたね。
 
 
 
 本当は凄く嬉しかったんだよ。あなたの優しさに感謝していたんだよ。