『いつもの席』。





お店に入って右側の、奥の角の席。





私達は向かい合わせになって座った。





「聖はコーヒーのブラックでいいんだよね?じゃぁ、私はアップルティーでいいかな?」





そう言って私が店員さんを呼ぼうとした時、





「麻優奈、ちょっといいか?」





そう言って聖はいつになく真剣な顔になって私に尋ねた。





聖のこんな顔は今まで見たことがない。





「どうしたの?もしかして、コーヒーじゃ駄目だった?」





「いや、そうじゃなくて……」




聖は少し躊躇いながら私の顔を見て、こう言った。







「俺に、『広瀬君』の事を教えて欲しい。」