「泣くな!!俺が追い払ってやるから!!」





いきなり声が聞こえた。






そしてその声の主は、私と犬の間に割って入り、犬と対峙した。





「噛み付いたら、これで叩くからな!!」と言いながら、木の枝を犬に向けながら大きく振り回した。





『ガルルルルゥ……』






犬は低く唸りながら後退りした。





「わっ!!!」





いきなり前に立っている人が大きな声を出し、私は驚いて体を震わせた。






それと同時に犬もキャンキャン鳴きながら走り去っていった。






……………助かったの?






私は呆然と立ち尽くしていたら、前に立っている人が私の方に振り向いた。






「もう、大丈夫だから、泣き止めよ………」





と言って、優しく私の肩に手を置いた。