君の声



 「なにっ……言って……」

 「ふふっ…」


真由は由衣の動揺ぶりを満足げに見てからリビングを出て行った


 (これで…私の物よ?立夏さん)


由衣は足元に広がる紅茶に気づくはずもなく、ただ困惑の中ソファーに座っていた




* * * * *


 「今日は由衣は来ないんだね」


立夏が寂しそうに呟くと律子が口元に手を当てて「フフっ」と笑った


 「何ですか」

 「いえ?よっぽど由衣さんに夢中になっているから面白くて…」


そう言う律子は優しく微笑んでいた


 (母さんの言うとおり由衣にすっかり夢中になってるな、君の声に安らいで、君の仕草に一つ一つに目を奪われている…今日はまだ来ていないけど……)