君の声



 「あれ…いない…立夏さんのところかな?」


どうしようかと思いキッチンに行ってみると篠田がせわしなく働いていた


 「あ、おはようございます」

 (魔女の声……)


由衣は先ほどまで見ていた夢を思い出してまた声を出すのが怖くなくなった

例え小さい子の戯れ言だとしても当時の由衣には深く傷ついた

それがまた由衣の心に蘇ってきた


 (由衣様?)

由衣ははじめの頃に戻ってしまいコクリと頷いた


 「由衣様?具合でも?」


篠田が近づいてきたが由衣はふるふると首を横に振った


 (…やっぱり立夏様の記憶がなくなったことがショックなのだろうか…)