結衣はかぶりを振ると玲央に抱きついた。


「いいの・・・・・・だけど、あたしを拒絶しないで・・・・・・」


「結衣・・・・・・傷つけてごめんな」


髪を撫でる玲央の手はうっとりするほど優しく動いている。


しばらくわたしは玲央の腕の中にいた。




結衣は玲央のベッドに腰掛けていた。


玲央は音楽のCDを選んでいる。


――やっと心の余裕が出来たみたい。


結衣はぐるっと部屋を見渡した。


――玲央の荷物が入って部屋が男の子の部屋らしくなった。


机の上にいつもかけている銀縁のメガネが無造作に置かれているのを見つけた。


それを手にとって覗いて見る。


「玲央っ!メガネに度が入ってない!」


――メガネを外している所を良く見るからそんなに悪くないのかなと思っていたけど伊達だったんだ。