数学のプリントをやってしまうともう一度ベッドに入りお気に入りの作家の小説を開く。


数ページも進まないまま結衣は夢の中へ落ちて行った。



* * * * * *


額に冷たい手が置かれた感触。


「ぅ・・・・・・ん・・・・・・」


結衣の目がパチッと開く。


目が合ったのはママでもパパでもなく玲央。


玲央の今は茶色に見える瞳と目が合う。


「れ、玲央っ!」


ぼんやりしていた頭が急に回転し始めた。


「熱は下がったみたいだね」


俯いているせいでさらさらした髪が目にかかり玲央はうっとおしそうにかき上げた。


「う、うん・・・・・・」


結衣はのそっとベッドの上に起き上がる。