結衣は気持ちに反して窓辺に立っていた。


――玲央が学校へ行く時間・・・・・・。



うっとおしい雨の向こうに玲央の姿が見えた。



大きな黒い雨傘をさして門を開けて通りに出た。



そのまま行ってしまうのだろうと思った。


だが玲央は振り返ってこちらを向いた。


―― 一瞬目が合った気がした。


隠れるように結衣は窓辺から離れた。