「はぁはぁ……っは……もう泳げないっ!」



25メートルを何往復しただろうか、結衣は荒い息を吐いて縁につかまった。



「もう泳げない?まだ100メートルしか泳いでいないのに」


「……っは……あ……あ、あのね?……100メートルも泳げば十分なのっ」


玲央は身軽にプールから上がると、結衣に手を差し伸べた。


「ほら」


引っ張られて上がるとふかふかのバスタオルが渡された。


「ありがと」


びしょびしょに滴る髪を丁寧に拭いていると、玲央が冷蔵庫を開けてミネラルウォーターのペットボトルを持ってきた。