「結衣は俺の恋人だって言った」


結衣に笑いかける。



こちらへ来てからノンフレームのメガネはかけていなかった。



「……」


「本当の事だろ?」


「お兄ちゃん!」


ビーチボールを持った聖羅が水を滴らせて玲央の目の前に立った。



「なんだよ?」



「エミリー、泣いちゃったじゃない!」



濡れたビーチボールを玲央の顔めがけて投げつけると聖羅は行ってしまった。



とっさに手で避けたが、水滴でTシャツがびっしょり濡れてしまった。



――お前、誰の味方なんだよ……。



ため息を吐いて結衣を見ると笑っていた。



楽しそうな笑い声に、結衣を笑わせる事が出来たからまあいいか、とタオルで腕を拭いた玲央だった。