うろたえているあたしに玲央は意外と冷静で水を飲ませてくれた。


その水はあたしの涙に混じって少ししょっぱかった。



「多恵子さんは外出中か」



家にいればこの騒ぎに気づいて飛んでくるだろう。



この騒ぎの原因は結衣の受賞よりも俺が神崎 拓海の息子だからだ。


結衣の受賞をだしに使いあの女の策略にはまってしまった事に憤りを感じずにはいられない。


――多恵子さんが帰ってきて外の取材陣に驚くより今電話で知らせておいた方がいいな。



玲央はポケットから携帯電話を取り出すと多恵子にかけた。



「・・・・・・玲央?どこに・・・・・・?」



玲央の動きに結衣が唖然と見た。



「多恵子さんに電話する」



「玲央っ!」


結衣がうろたえた。