『お兄ちゃん!ママに何を言ったのっ!?』



すぐさま聖羅の怒鳴り声が玲央の耳を痛めつける。



「聖羅、もっとトーンを落としてくれよ」



『電話を切ったあと、ママは動揺してたよ?』



「動揺する事なんて言ってない」



『そんな事ないよ お兄ちゃんは冷たいからっ ママを動揺させたってパパが知ったら叱られるからね?』



「ったく 母さんどんな風なんだよ?」



『目元を手でぬぐってベッドルームへ行っちゃったのっ いったい何を言ったのよ!?』



「まだ帰る気も起こらない もしかしたらずっと日本にいる――」