2人はベンチに座っていた。



辺りには誰もいない。



雨の音だけが聞こえる静かな時間だった。



そんな状態に結衣は堪えられるわけもなく落ち着かなかった。



そわそわしているのが分かったのか玲央に「トイレ行きたいの?」と聞かれる始末。



――どんだけムードがないのよっ



と心の中で怒る。



「行きたくなんかないっ」



ぶっきらぼうに言う結衣に玲央が笑った。



「じゃあ、寒い?」



顔を近づけられて思わずポカンと玲央を見る。