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「パパっ!本当に玲央が帰ってくるのっ?」


あたしはスタジオの中のパパのオフィスのドアを開けるなり聞いた。



「結衣、ただいまの挨拶が先だろう?」



水色のブラウスにグレーのリボン、スカートは今時の女の子らしく少し短めの制服。



家には帰らずに学校から直行してきたらしい。



「ただいま、パパ」


信也の座っている机の前に立ち、歯がゆそうに言った。


信也は自分の娘を眩しそうに見た。


癖のある肩までの茶色い髪、多恵子に似ていると思われた一重だった目元は大きくなるにつれて信也の目元に似てきて二重になった。