「結衣、リュウは山登りの時、結衣を置いて行っちゃった事を申し訳ないと思っているだよね?」



珠代が近づいてきて助け舟を出す。



「なーんだ そんな事♪そんなの全然気にしていないよ あたしが気にしているのは珠ちゃんに迷惑かけちゃったから謝ろうと思っていたの」



土曜日に珠代に電話をかけてもうとっくに謝っているのだが。



リュウは謝りたいだけではなかった。



玲央との事をすごく気にしている。



頭に浮かぶのは玲央が結衣を軽々と抱き上げ自分の物のように扱った姿が思い出される。



――結衣と玲央 玲央は結衣の初恋の相手。



玲央との事を聞こうと口を開いた時、予鈴が鳴った。