「多恵子、考え事?」



夫婦の寝室のベッドに上体を起こして本を読んでいた信也はドレッサーの前で動かない多恵子に声をかけた。



「昔の事を思い出していたの」



ブラシを置くとベッドに近づき端に座る多恵子。


「昔の事?」



「今の結衣たちの年には拓海と葉月は付き合い始めていたんだったなって」



あと少しで玲央は18歳になる。



18歳の時に拓海は16歳の葉月に出会い恋に落ちた。



「考えてみればそうだな」



「玲央くんと結衣はどうなってるのかしら・・・・・・」



「どうなってるって?」



信也が持っていた本をパタッと閉じる。