「そうだ!」


結衣はクローゼットの引き出しを開けて一眼レフのカメラを取り出した。


結衣の夢は父親と同じにカメラマンになる事。


学校に写真部がないのでもっぱら活動は家で気ままに撮っている。


良い出来と思った写真は信也に見せる。


だが、評価は厳しくてなかなか褒めてはくれない。


娘には甘いはずなのだが、写真に関しては妥協を許さないのだ。


「みんなを撮ろうっと♪」


荷物が増えてしまうのは仕方ないと、結衣は肩からかけるバッグとカメラバッグを手にして部屋を出た。