「あれ、木村サン?」
「は!?」
声のした方を振り返ると、見知った顔の奴が立っていた。
すっごくマヌケな顔になってたと思う。

鈴鹿啓輔。
クラスメイト。
部活はバスケ、かなりモテてる。
アタシは、コイツの爽やか顔が大嫌い。

「何で、アンタがいるワケ」
不機嫌な顔で言ってみると、
「知らないよ。自分だって、気づいたらいたんだから」
と、あっちも不思議そうに言った。

「え、やっぱり!?」
いくら嫌いでも、情報収集は大事だ。
ココにどうやって来たかを尋ねれば、気づいたら、だってさ。
ケータイも繋がらず、途方に暮れて彷徨っていたトカ。
アタシもそうだったから、ふうん、とだけ言う。

アタシは、そろそろお腹が空いてきた。
苦い顔で、
「お腹減った」
と言えば、鈴鹿も、
「オレも」
と呟いた。

仕方ないから、二人で散策することに決めた。
逸れたら元も子もないから、鈴鹿の後を付いていくことに。