「ブロンドだと、ロリータの方が似合うんだよね」

オレは何のコトやらさっぱりだったが、木村さんはしたり顔で頷いていた。

「オレは、リュート・ザクス」

あ、完全男だ。

「ふぅん、よろしく」

つい、と木村さんが手を差し出した。
すると、リュートは少し顔をしかめて、その手をさっと握った。
そして、あっという間に離すと、真っ黒なパニエで拭った。

「失礼な」

「潔癖症なのよ」

けっ、と木村さんはリュートを睨んだ。

「こればっかりは許してくれるかしら」

女の子以上に完璧な「女の子」はすまなそうに言った。

「…手袋でもすりゃいいんだよ」

木村さんは不快そうに呟いた。

「あ、ヨロシク。
鈴鹿です、で、こっちは木村奏です」

自己紹介してねぇな、と思いつつ、名前のみ教える。

「改めてよろしく、鈴鹿、奏」

リュートはスカートのポケットからレースグローブを取り出しながら言った。
…え、グローブ!?

「持ち歩いてるに決まってるでしょ」