アタシは木村奏。
春町高校の2年生、クラスでクラス委員をさせられている。
とことんクジ運は、ない。
部活は陸上部、ちなみに万能選手なんだ。

で、どうしてこんなトコロにいるのか。
さっきまでは、自分の部屋にいた。
部活帰りで疲労困憊のアタシは、制服のまんま、ベッドに倒れこんだ。
そしたら、この状況。

制服は、そのまんまだった。
ちなみに、ポケットの中も、そのまんまで。
ケータイ、財布、未開封の12コ入りのガム。
服装的には、チェーンのネックレス、片耳2コずつのピアス。
この状況を打開するためには…。
「あ、ケータイ」
そうか、ケータイだ。
これで、誰かと連絡着くじゃん!
希望を胸に、ケータイを開くと…。
<圏外>
そ、そりゃそーだよね!
こんな密林の奥、ケータイが使えるハズないじゃん!
アタシも浅はかだなぁ!

余計に虚しくなって、とぼとぼそこら辺を歩く。
大体変だ。
鳥の鳴き声とか、動物の声とか、そういう音が、一切ない。
不思議で不思議で仕方ない。

と。
「ガザッ」
音がした。
「!!?」
アタシは動転し、辺りをグルッと見渡す。