紫波は重々しいオークの扉を蹴り開けた。



『おいおい…穏やかに開けてくれ。』



『朝食をとりかねてイライラしてるんだ。何の用なのか早く言えよ。』



長いヒゲを蓄えた筋骨隆々の男は紫波に座るよう促す。



紫波はソファに体を埋め、長い脚を組む。




『手短に言おう。任務だ。』



男は紫波に紙を投げてよこす。



紫波は極秘の赤いはんこが押された資料をポケットに捩込むと立ち上がった。



『すぐに発つ。じゃあな、協会長。』



男は顔をしかめた。




『たまにはお父さんって呼んだらどうだ?』



紫波は父である協会長を無視して部屋を出た。