ガールズ・トーク

里美は、なんとなく
智子にとって和真が
特別な存在だったことは
気付いていた。

以前、里美と和真が一緒に
映画を見に行った時、
何故だか怒ったのだ。

それは、自分が
誘われなかった
というよりは、
嫉妬のような
怒り方だった。

きっと、智子にとって
和真は
特別な存在=恋の相手
だったのだ。

それに気付かない振りを
していただけなのだ。

「ねえ、里美。
私の7年間って何だったん
だろうね」

「7年て?」

「誠と付き合った7年」

「それは、それ。
智子が和真君の存在に
気付くまでの時間だったんだよ。
誠さんはステップよ」

「誠は踏み台なの? 可哀相。
でも長いステップだったなあ」

「和真君には返事したの?」

「まだ、今日ここで
待ち合わせしてる」

ふと外を見ると
いつの間にか
雨は止んでいた。