ガールズ・トーク

入り口の巻きテントを
出そうと外に出た時、
見覚えのある青い傘が
「ラバーズ」に向かって
歩いて来ていた。

智子だった。

「すごい雨になったね」

智子は真剣な顔をして
立っていた。

「寒いでしょ。
ミルクティー煎れるよ」

智子は、青い傘を
綺麗にたたみ、
傘立てに無造作に
突っ込んだ。

傘を丁寧にたたむ
細やかさと、
傘立てにガサッと
突っ込む大雑把さ。

細かいのか
細かくないのか・・・。

そんな両方どちらも
持っている智子の性格が
里美は好きだった。

「久しぶりだね」

「いろいろあってね」

「いろいろって?」

「いろいろ…。
里美には、ちゃんと
考えて答えを出してから
覆言おうと思った。
そしたら、2週間も
かかっちゃった」

「じゃあ、答えは
出たんだ」