「まだ痛む?」

「そりゃまあ、多少はな」


久遠の返答に紗里は不安げな表情を浮かべる。


「ごめんね、体まだ辛いのに無理言って」

「そんな顔するなよ。どのみち元に戻さないといけなかったんだし。……またいつ四神護の連中が来るかもわからねーし」


四神護という言葉を聞いて紗里は表情を曇らせた。
久遠をここまで痛めつけた胡弓という女も、紗里を刺したあの男も同じ四神護。
胡弓に姿を見られたと言うことは、久遠と一緒にいることがあの男にも知られたかもしれない。

自分も、久遠のように襲われるのだろうか。

想像すると背筋が凍るような感覚を覚えた。紗里の態度に気がついた露暴が尋ねる。


「紗里サン?」

「……来るよね。四神護は私達のこと殺したいんだもんね」


体を温めるように腕を組んだ。


「どうしよう。私、何もできない」


戦う術はない。逃げても追い付かれるのは分かっている。