四神護の塔と同じく、ここには窓が少ない。
かろうじて視界を保たせるのは点々と灯る燭台の明かりだけだった。
夜は僅かな隙間から、か細い明かりを狙うようにじわりと、より濃い暗闇を流し込んでいる。
その明かりを守るように燭台の元には人が立っていた。
皆、一様に黒い服を纏い、燭台まで近づかなければそこに人がいることに気がつけない。
彼等は「神殿護(しんでんもり)」と呼ばれる者達である。
彼等は名の通り神殿ーー黄龍中央部を守護する兵士。
黄龍の内側に取り込まれた住民達を支配する立場にはいるが、彼らの頭上、手も届かぬ高みに君臨する四神護達にとっては手足にもなり得ない「ただそこにある雑多なもの」にしか過ぎない。
胡弓が近づいてくると暗がりの中、頭を垂れる。
神殿護にとっては四神護は絶対服従の存在。
仄暗い明かりに照らし出された、胡弓の深紅に染まった腕を見て、幾人かの神殿護が胡弓に駆け寄ったが、胡弓はそれをことごとくはね除けた。
今、視界に入る全てが気に入らない。
胡弓は突き飛ばした神殿護達を振り返ることもなく真っ直ぐに神殿の内部へと進み続ける。
かろうじて視界を保たせるのは点々と灯る燭台の明かりだけだった。
夜は僅かな隙間から、か細い明かりを狙うようにじわりと、より濃い暗闇を流し込んでいる。
その明かりを守るように燭台の元には人が立っていた。
皆、一様に黒い服を纏い、燭台まで近づかなければそこに人がいることに気がつけない。
彼等は「神殿護(しんでんもり)」と呼ばれる者達である。
彼等は名の通り神殿ーー黄龍中央部を守護する兵士。
黄龍の内側に取り込まれた住民達を支配する立場にはいるが、彼らの頭上、手も届かぬ高みに君臨する四神護達にとっては手足にもなり得ない「ただそこにある雑多なもの」にしか過ぎない。
胡弓が近づいてくると暗がりの中、頭を垂れる。
神殿護にとっては四神護は絶対服従の存在。
仄暗い明かりに照らし出された、胡弓の深紅に染まった腕を見て、幾人かの神殿護が胡弓に駆け寄ったが、胡弓はそれをことごとくはね除けた。
今、視界に入る全てが気に入らない。
胡弓は突き飛ばした神殿護達を振り返ることもなく真っ直ぐに神殿の内部へと進み続ける。