夜が明けるにはまだ時間がある。
薄暗い処置室から、診察室の蛍光灯の白色の光が着いているのが伺えた。
鳩羽は残された片腕を光の方へ伸ばしてみた。
届かないその距離は、在りし日の情景との距離のようで、掌にはただ、己の無力さだけが残されていた。