ようやく落ち着いた悠美を隣に座らせると

「話を聞こう」

と、静かに言った。

小さく頷いた悠美は、今日あった出来事を語り始める。

すると、琢己は最初の出来事からの説明を求めた。

「昨日はね、アタシと夏美には全然分からなかったの」

「昨日は分からなかった。あ……」

その事実は琢己を驚愕させた。

話のつじつまが合わないことに気づいたのだ。

「え、そんで……悠美ともう一人は分からなかったって?」

「うん、希里たち四人だけが闇と音に怯えてて……」

そして、やや混乱した頭がもうひとつの疑問を拾い上げた。

「闇? 音だけじゃないのか?」

それは初めて知った新事実だった。伝説にはそれを含む事柄はない。

「何も見えなくなるの。ホントに……」

先ほど起こった現実離れした現象を思い出すと、悠美は小刻みに肩を震わせた。


琢己はその悠美の怯える姿をなだめながら、昨夜の記憶を辿っていた──



突然眠りを妨げる音が深夜の部屋に鳴り響いた。


半分覚醒しない頭でも、それが携帯の着信音だと分かると多少の怒りを覚えた。

ベッドの下で点滅する光を手探りで拾い上げると、まず発信元を確認する。

タチの悪い友人なら、文句の一つや二つじゃ済まさないつもりだ。