エスカレーターが切れるちょうどその時、夏美の右足首だけが画像から消えていた。まるで昇降板とともに設備に吸い込まれているようにも見える。

「どうなってんだ……」

考え込む川田をよそに、後ろの騒ぎは大きくなっていった。

「だから言ってんじゃん、呪いだって」

真知子はその威勢の良いセリフとは対照的に、今にも目から涙をこぼしそうなほど怯えていた。

しかしその画像を目の当たりにしても、川田の意見は変わらない。いや、変えるわけにはいかなかった。

「そんなことはない。あるわけないんだ……」

結局その場は、一旦悠美だけが残されることとなり、他の三人は帰された。

川田の推理からすれば、夏美の線が消えたとすると次に可能性が高いのは悠美となる。最初の犯行現場がその理由だった。

その川田の勘はある意味当たっていたと言える。

悠美の言動の不安定さに、川田の直感が確信に近いものに変わっていった。

「では、事件の前日、君はどこかへ行ったのか?」

慌てて首を横に振る悠美。その挙動は明らかに動揺を含んでいた。

「ご両親に確認を取るけど、大丈夫?」