その中でも希里にだけは何かが見えているようだった。
見開いた目を夏美に向け、さらに大きな叫びを上げて後ずさりした。
「ちょっと、希里?」
夏美の伸ばした手を避けるように、希里はさらに後ろへ下がる。ついに窓際に追い詰められると、上半身を窓の外に置いた。
「やめてえー!」
その声と同時だった。
上半身が吸い込まれるようにのけぞると、一瞬にして体が外に引きずり込まれる。
「希里!」
夏美が咄嗟に手を伸ばすが、それすら間に合わない。
「希里!」
窓から身を乗り出して希里を追った夏美は、しかしそこに信じられないものを見た。
(え?)
無残に眼下の庭に横たわっていると思っていた希里の姿を探す。
しかし、そこにはのどかな庭の風景が広がるだけで、そのような血なまぐさい光景はどこにも無かった。
「どこ……?」
すぐさま階下に降りて庭へと飛び出す夏見。反対に悠美はその場を動くことが出来なかった。
悠美の目には単に窓から落ちたようには見えなかった。何者かに引きずり込まれたような不自然な動き。その何者かを想像するとき、昨夜、穴ぐらで聞こえた音と繋がるのだ。
見開いた目を夏美に向け、さらに大きな叫びを上げて後ずさりした。
「ちょっと、希里?」
夏美の伸ばした手を避けるように、希里はさらに後ろへ下がる。ついに窓際に追い詰められると、上半身を窓の外に置いた。
「やめてえー!」
その声と同時だった。
上半身が吸い込まれるようにのけぞると、一瞬にして体が外に引きずり込まれる。
「希里!」
夏美が咄嗟に手を伸ばすが、それすら間に合わない。
「希里!」
窓から身を乗り出して希里を追った夏美は、しかしそこに信じられないものを見た。
(え?)
無残に眼下の庭に横たわっていると思っていた希里の姿を探す。
しかし、そこにはのどかな庭の風景が広がるだけで、そのような血なまぐさい光景はどこにも無かった。
「どこ……?」
すぐさま階下に降りて庭へと飛び出す夏見。反対に悠美はその場を動くことが出来なかった。
悠美の目には単に窓から落ちたようには見えなかった。何者かに引きずり込まれたような不自然な動き。その何者かを想像するとき、昨夜、穴ぐらで聞こえた音と繋がるのだ。



