ダーク&ノイズ

電気のスイッチを入れた真知子が、明かりの灯った電灯を見上げながら不満を洩らす。

「点いてる?」

手をかざして電球を探った。

「点いてないじゃん」

のぞみも立ち上がってスイッチを繰り返し押すが、チカチカと点滅をする蛍光灯を目の前にしても、その光を確認できないようだ。

「停電してんじゃない? 街の明かりも点いてないよ」

窓の外を眺めていた希里が振り返って言った。続けて視点の定まらない目で部屋を見渡す。

「全然見えないんだけど……なにこれ?」

その口調に怯えの色が見られる。悠美はそれを唖然として見ていた。

「みんな、どこ?」

真知子の狼狽も大きくなっていた。宙に浮かせた手を左右に振って、何かを探り当てようとする仕草を繰り返している。

「何も見えない。なにこれ!」