すると、玄関のチャイムが鳴った。

母親が出て何やら話をしている。その母親の声に混じって聞きなれた声が聞こえてきた。

「お邪魔しまーす」

階下から聞こえる声に悠美の血の気が引いた。

(お母さんのバカ!)

それは希里の声に間違いない。

悪魔をみすみす家に引き入れるなんてどういう了見だろうか。すでに声の主たちは賑やかに喋りながら階段を上がってきていた。

ベッドに潜り込み、ドアを睨みつけて身構える。そのドアが音を立ててノックされた。

「悠美、大丈夫? 入るよ」

夏美の声だ。悠美は小さく怯えながら取りあえず寝たフリをすることにして固く目を瞑った。


どうやら呪いは効かなかったようだ。


悠美は悔しさで下唇を噛み締めた。