しかし、悠美の彼氏を連れて行くことを譲ろうとしない夏美は、すぐに反論して気の強いところを見せていた。


正直悠美にとってはどうでも良い事だ。


自分の彼氏を連れて行くのは気兼ねしなくていいが、新しい出会いは絶望となる。

どうでもいいから話は半分しか聞いていない。


それよりも、そんな賑やかな中で独りぽつんと席に座って本を読んでいる木下裕子が気になっていた。

「聞いてんの? 悠美」

「ああ、ごめん……」

意識を引き戻したのは紗理奈だった。


アイラインが濃すぎてまるでパンダのようだが、本人に言わせれば素顔だと恥ずかしくて表に出られないらしい。


「あ、木下?」

「え? いや、別に」

「本当キモイしい、アイツ」

「あ、うん……」


その意見に頷かなければ、その矛先が自分に向けられることは重々承知している。


本意でなくてもそういう答えしか口にしてはいけない。


二年生にあがってからというもの、このグループに入ってはみたが、どうにも馴染めない居心地の悪さがある。



その理由はいじめにあった。