忘れかけていた罪悪感がよみがえる。


吉川沙紀の親友だった同級生だ。



急に日差しが弱くなり、悠美はうすら寒さを覚えた。

ふいに見上げた空は、暗く曇っている。いや、正確には


(ウソだ……)


太陽がフィルターを通したように、眩しさを奪われていた。


(そんな)


じわりと忍び寄ってくる闇が、悠美の周りを取り囲んでゆく。あれほどせわしく鳴いていた蝉も、いつの間にかその声を潜めていた。


(もう終わったはずじゃ……)


見慣れた道が灰色に変わり、その濃さを増してゆく。

林田幸恵が、こらえきれず白い歯を見せていた。そして皮肉にも、それが悠美の見た最後の景色だった。


『人を呪わば穴ふたつ』


一年前、佐々木から聞いた言葉がよみがえる。


このとき悠美は、自分が逃れられないことを悟り、そして



その音を聞いた。





コオーン……








──完──