ダーク&ノイズ

恭一にとって佐々木とは、その神に近い存在といえる。

だが、それでも現実は力不足を否めないということだ。それは少なからず恭一にショックを与えた。

「そんな……」

「そんなものだ、ひとりの人間の力など。神は礼をもって奉り、その力をこちらに貸してもらうよう働きかけるしかない」

佐々木はそう言ったあと、呪符を三枚、ふところから取り出した。

それを無言でひとりひとりに渡してゆく。

「そろそろ来るようだ。悪霊は恐怖に反応する。強く心を保て」


窓の外はすっかり夜の帳がおりていた。

低く浮かんだ満月が、じっとりと血を吸ったような赤さび色に染まっている。


「来るって……何ですか」


素人の琢己でも、佐々木の放つオーラの色が変わったことに気づいた。

それ以上に、街の空気までもが大きく変わったように感じ、思わず身震いして赤い月を眺める。

「負の霊的エネルギーが集まりすぎた。怨念のこもった霊魂が暴走を起こすということだ」

その言葉を聞いた直後、三人は身をすくめた。



琢己の足が恐怖に縛られて動かない。それは恭一も同じだった。

「うそだろ……」

最初は幻聴かと思ったが、恭一や悠美の様子を見て、それが現実に自分の耳に届いていることを理解した。