ダーク&ノイズ

肺を貫かれ、心臓の機能を失った女は、打ち上げられた魚のように口を動かしていたが、やがてどろりとした血を吐き出すと、そのまま絶命した。

マスクをした女は、そう


あの木下裕子だった。


「あんな男に熱をあげるから、こんな目に遭うのよ」


熱いアスファルトに横倒れた女のそばにしゃがむと、胸に突き刺さったナイフを抜き取る。

まだ心臓に残っていた血液が、そこからどくりと流れ出た。


「佐吉は、こんなことはしないわ」


冷たく言い放つと、裕子もその場からいずこへと立ち去った。




この街の警察署長である小金井は、宇野の報告を聞いて発狂しそうな表情をつくった。

怒鳴ろうとしたが、あまりの出来事に言葉が出ない。


(パトカーのなかで女子高生が消えただと……)


真っ先に頭に浮かんだのは、警察の責任問題だ。

「ありえん……」

現場の捜索は部下に引き継がせて、宇野には報告に戻るよう指示を出したのち、椅子にもたれて頭を抱えた。