ダーク&ノイズ

宇野は救急車と救急病院への緊急要請をすると、報道を続けている星野らのところへ足を向けた。

「ちょっと、ちょっとおたくら。責任者は誰だ」

レンズを手でふさぎながら尋ねると、報道車の中から興奮した星野が飛び出してきた。

「何の権限があって撮影を邪魔するんですか!」

目の前の一大スクープに我を失っている顔だ。


宇野はその星野の肩を優しく抱きながら、

「まあまあ、撮影をどうこうは言わない」

と、切り出した。


(なにかあるな)


星野はその態度にむしろ期待を高めた。


「報道の自由はいくら警察でも阻止できませんよ」

あえて態度を硬化させることで、なにか出てくるかもしれない。

「どこまで知っている」

宇野は楽観的な観測はしていなかった。

殺人事件にオカルトが絡んでるなど、いかにもマスコミが食いつきそうな材料だ。もう尻尾をつかんでいるかもしれない。

その情報をつかめば、ことの真偽が確定するまで待つなんてことはないだろう。そのまま不確定な情報を垂れ流すに決まっている。

「さあてね、アノ事ですか?」

ここからは探りあいだ。