どっと教室は抗議と質問の渦にまかれた。

が、その直後

「死んだんでしょ!」

突然あがった叫び声が、その騒ぎを切り裂いた。


一瞬で静まり返った教室のなかで、声を発した生徒はうつむいて震えていた。

ずっと朝から黙り込んでいた連中のひとりだ。


注目が集まるなか、その生徒はぽつりと口を開いた。

「だれ……」

机をじっと凝視していた目をあげると、素早く周囲をみわたして

「あたしを呪ったのは誰よ!」

と、目をむいて金切り声をあげた。


その形相と異様な迫力に、生徒らは怖気をかんじて身をすくませた。


続くように、別の生徒も声をあげた。

「あたしも呪われた。絶対犯人見つけてやるからね」

この生徒も騒ぎを避けていたひとりだ。ということは──


「あたしもよ。誰、卑怯じゃん!」
「あんたら、笑ってられるのもいまのうちだからね」
「殺人だからね、あんたらのやってることは」

中には泣き出す生徒もいる。

このなかの半数の生徒が、昨夜、何度か呪いの洗礼をうけていた。

教師は、暴動が始まりそうな険悪な教室をしずめるのも忘れ、あわてて欠席者のチェックを始めた。


空席が目立つ教室になっている。


生徒らには知らせていないが、警察からは木下裕子と冬野真知子、そして真下のぞみが行方不明になったことは聞いているし、谷川悠美が病院に収容されていることも知っている。

石田沙理奈は、念のため警察が保護しているということだった。