翌日、警察署にはマスコミが殺到し、街は騒然となった。

朝のニュースでは、容疑者が未成年であるだけに実名での報道はなされていない。

しかし、昨日の大捕りものの噂はまたたく間に広がっていて、その容疑者のなかに、このクラスの冬野真知子がいることも既成事実となっていた。

そして被害者三人のうち、ひとりは元クラスメイトなのだ。

当然、朝から教室は異様なざわめきに包まれていた。

「ちょっと、インタビューあたし出たんだけど」
「やばいよ、あんたメイクしてないじゃん」
「ねえねえ、冬野が殺したのって、あれでしょ?」
「絶対呪いを解こうとしたんだよ」

意外と殺された側の話題はのぼらない。

冬野の殺意の原因に話は集中した。

その一方で、すでに葬儀に参加しているように沈んだ表情をしている生徒らが、半数はいる。

誰もが口を閉ざし、喧騒から逃げ出すように耳をふさいでいる者もいた。


教室のドアが開き、担任教師が入ってくると、生徒らはどんなことを話すのか注目した。ふだんでは考えられない行儀よさだ。

「君たちももう知っているとは思うが、昨日、悲惨な事件が起こった」

そう切り出した教師。沈痛な面持ちは、悲しむというより、面倒が起きたという苦心をあらわしている。

「かつてのクラスメイトだった吉川沙紀さん。そしてクラスは違うが、白井洋子さん、町田亮子さんが遺体で発見されました。葬儀は明日行われますが、参加希望者は──」

言い終わらないうちに、ひとりの生徒が声をあげた。

「先生、冬野さんが殺したんでしょ、捕まったんですか?」

その質問に教師は顔色を変えた。

「バカなことを言うな。マスコミに何か聞かれても、絶対なにも言わないように」

「だって、昨日警察が捕まえるとき、冬野さんも犯人の中にいたって聞きましたけどー」

「冬野は捕まってない!」

「じゃあさ、今日なんで来てないの? ほかの真下も谷川も石田もさあ」