銀鏡神話‐翡翠の羽根‐

バンッ


剣玉は次第に、ほんの少しずつ速さを増していく。

間口はそれに気づいていなかった。

(……大丈夫、あの位のスピードだったら、次の攻撃の時に魔法弾で交わせる!!)

確信……其れは己の首を絞めることになる。

〈舞い散りて 血を喰らいな!雀!〉

雀(じゃく)……あの剣玉の事だろう。

〈さぁ舞踏会の時間だよ!〉

魔女の言葉により、雀は今までに無い複雑な動きで間口の周りを回る。

撹乱……予想外の動きだ。

『高上鬼神の弾・ガリネス!』

間口は右手の人差し指から魔法弾を出す。

『飛べ!!』

魔法弾は間口の周りの空間に撃ち込まれた。

ガリネスは物体を内から徐々に破壊する魔法弾。

一体ガリネスは何を破壊したのだろうか?

〈お前の考え方は間違っていない。

けれどね、少しでも傀儡の気持ちを考えてやろうとは、思わないのかい?〉

魔女の哀しい瞳に映る自分の顔を見た。

酷い顔だった。

此れが……間口 吾平……自分なのか?


ヒュウッ


間口は次第に浮いていく。

そう、間口が破壊したのは自らに働く重力。

無重力になることで、空間移動をしてこの場から逃れる、間口は考えた。

〈……がっかりね、吾平。〉

「え……」