「美紗ー! はよっ!」

何時もと変わらない朝が来た。

賑う昇降口に、大勢の生徒達が喋りながら自分達の教室へ向かう。

美紗も其の一人だ。

大抵は、朝、真帆に下駄箱で会って、一緒に教室まで行く。

今日は大抵の日だった。

「おはようま…」


“投稿ありがとうございました。白江 美紗さん。”


「っ……」

真帆の顔を見ると、美紗は二週間前のあの出来事を嫌でも思い出す。

「美紗……大丈夫? あんたおかしいよ最近……」

そんな美紗を真帆は心配する。

あれから二人の間でこの新しい日課ができてしまった。

「……うん……大丈夫……大丈夫……」

大丈夫、美紗の最近の口癖。

此の言葉を繰り返すと、少しだけ美紗は楽になる。

美紗と真帆のクラス、ニ年五組。

教室に美紗と真帆が入ると、丁度チャイムが鳴った。

「おお、ギリセーフ!!」

真帆がおちゃらけながら言う。

美紗はそれを見て笑う。

ああ、元気付けようとしてくれるんだ。

改めて真帆の優しさを美紗は実感した。

「今日は転校生を紹介するぞー!」

のそのそと教室に入って来た担任がそう叫ぶと、
さっきまでこそこそ喋ったり、手紙を回してた生徒は一瞬で大人しくなった。

だが、沈黙になった教室の中、今だにこそこそと喋ってる男子がいた。

斜め右前の男子に消しゴムを投げる。

振り返った男子は額に軽く青筋を立てていた。

「なぁ、昨日のエンターステーション見た?」