銀鏡神話‐翡翠の羽根‐

「でも格好いいねその着物。」

そう、真帆が着ているのは真っ青な着物。

黒い帯を結び、まるで武士の様だった。

だが、着物は所々が緑色だった。

まるで緑色の布に上から青い絵の具を塗った様なものだった。

「……兄さんのものなんだ。」

「え……」

「兄さんがまだ霧草宴の当主だった頃の持ち物。

あの人緑色が大好きで、無理をいって伝統の赤い着物を緑色に仕立ててもらって。

でもあたしは緑は嫌いだった。

だからあたしは当主になってすぐ、真っ青に塗りつぶしてやった。」

淡々と語る真帆は今まで見せたことのないような寂しい顔をした。

「お前の兄さんはどうしたんだ?」

間口が腕を組ながら聞く。

「……死んだ。

霧草 椿は死んだ。

戦への欲に溺れ、狂い乱れた。」






「忍だと?そんな奴オレは知らない。

……大体俺はもう霧草の名は棄てた。」

強気な事を言っている割には冷や汗をかいている椿。