銀鏡神話‐翡翠の羽根‐

「コイツはウチに代々伝わる名刀、

『百花斉放』(ひゃっかせいほう)

あたしの相棒。」

本当に大事そうに百花斉放を抱える真帆。

相棒と言うからには、真帆は此の剣にかなりの自信があるようだ。

「ご無沙汰しています、式部様。

何時もウチの飾雨様が迷惑をかけて……すいません……」

めちるは真帆の前に出てお上品にお辞儀をした。

真帆はそんなめちるの頭に手をのせると笑いながら言った。

「お久しぶり。綾瀬めちる。

ふふふ、迷惑をかけているのはこっちよ。

飾雨……キャルナスには毎回任務の度に力を貸して貰って、感謝してます。」

小さきめちるにも礼儀を忘れない、武装侍・霧草宴当主。

表ではギャルの真田真帆を演じているが今はまるでそんな面影はない。

此れが本当の姿だ。

「真帆……忍って読んだ方がいいかな?」

もう自分の本当の姿を隠すのをやめた真帆に、
美紗はやはり戸惑いを隠せない。

「……いつもは真帆でいいよ。

ただし、白江様を守りし戦乱の時だけは、忍とお呼びください。」

美紗の手を握りしめた真帆。

改めて支配者の戦乱が始まったことを美紗は実感した。