銀鏡神話‐翡翠の羽根‐







「……」

頭がぼーっとする。

寝過ぎて頭が痛くなった感じ。

寝ぼけながら痺れて感覚の無い足で立ち上がる。

「うっ……」

鼻を突く血や腐った死体の臭い。

噎せて、涙が出てくる。

「ここが…… 死界……」

私のいる所は崖っぷちみたいだった。

遙か下には灰色の物体達がうようよしている。

あれが死界の住人達。

足元には骨が。

多分人骨だろう。

灰色の岩に灰色の大樹達の森。

空も灰色。

この世界には色が無い。

「……探しに行こう。」

速く探しに行こう。

愛する人の真実を。

私が見つけなきゃ。

「待ってて……」

私は灰色の森へ足を踏み出した。






久々の人間界で疲れたのか、赤月は一通り話すと、白いソファーに横になって寝始めた。

赤い髪を垂らして眠るその姿は一枚の絵の様に美しい。

独楽はそんな赤月を愛おしそうに見つめた。

「俺は何も知らなかった。

すまなかったな白露。

好きなだけ殴ってくれ。」

潮らしい声でそう言う独楽。

僕は首を横に振った。

「白江様を護ってくれ。

頼む……あの人を救いたいんだ。」

箱から新しい煙草を出して加えると、独楽は今まで僕に見せた事も無い、優しい笑顔を向けた。

「ああ、支配下・定を動かすぜ。

定の方針は白江 美紗の保護だ。

早速、鏡界に帰ってまこ達も連れてくる。」

支配下の威厳有る声でそう述べると、独楽は荷物を背負い、立ち去ろうとする。

「赤月と話さなくて良いの?」

「死界帰りの姫様はなかなか起きねーだろうからな。

……じゃあな、鎖葉斗。」

頭をくしゃっと撫でられ、独楽は立ち去っていった。

「行ってらっしゃい……裡音……」

彼と和解できた事が嬉しかった。

……これからだ。

本当の戦いの幕開けは。

ただ今は疲れた。

寝よう……

僕は机に俯せになり、眠りについた。