銀鏡神話‐翡翠の羽根‐

鎖葉斗君と戦い傷が増えれば身のギラテクトが増す。

それを変換……心のギラテクトに変えれば、
身はそのままで、私の中身は一気に死界へと飛ぶ。

『後始末は私達に任せて、存分に殺りあってください。』

微笑しながらそう言うと、キャルナスさんは途端に消えた。

新人さんも一回、私と鎖葉斗君に会釈すると、上の方へ走り去っていった。

『じゃ、じゃあ…… 死なない程度に頼むね!』

蠣音を構え、私は鎖葉斗君に飛び掛る。

鎖葉斗君はまだあまり修理できていない赦雨薇唖を私に向ける。






其の後……

鎖葉斗君は酷いな。

本気で斬りかかってくれちゃって。

意識が吹っ飛んで、目を覚ますと四十九番地。

周りにいるのは……鎖葉斗君に、キャルナスさん、新人さんの三人。

『り、りっくんは……?』

必死に私を助け様とするりっくんを思い出す。

『彼は治療室で寝てます。 躰の具合より、心の方が参っちゃったみたいで。』

心の方……? りっくんは大丈夫なのか……?

本当に、私はりっくんを置いて行って大丈夫なのだろうか……

不安を胸に秘めたまま、私は腰を上げた。

『携帯型の空間転移盤を二つ、かっぱらって来たから。

一つは死界に持って行って、帰る時に使って。』

茶色い、木の箱型の空間転移盤。

私はポケットにしまった。

『では、空間転移盤の上に乗って下さい。』

携帯型空間転移盤をキャルナスさんが踏んで砕く。

中から水色の魔法陣が出てくる。

私はその上に立った。

三人が魔法の詠唱を始める。

さようなら…… 鏡界。

さようなら…… みんな。

『赤月さんっ…… 帰って来て……』

ありがとう…… 鎖葉斗君、キャルナスさん、新人さん。

『行ってきます…… 爾来様……』

私は銀色の世界に包まれた。

意識が途絶え、最後に爾来様の笑顔が頭に浮かぶ。