銀鏡神話‐翡翠の羽根‐

冗談を飛ばすみたいな軽い言い方でウィオは言った。

何時もは冷静に物事を見定める独楽でも、此の時ばかりはそうではいられなかった。

駆け足で階段を降りて、万里の魔力を探る。

天使は魔力や武力。

ありとあらゆる力を探るのが得意なのだ。

其の能力を使い、天使は職務をこなしているのだから。

『……ふふっ。

面白いなぁー。』

残されたウィオは、まるで道化を見る様にけたけたと笑った。






『……!』

『? 新人さん?』

新人さんが只ならぬ表情をし、立ち止まった。

額に冷や汗が流れ、青ざめた顔をする。

『速く! 独楽君が来る!』

りっくんが!?

『此処で来られちゃかなりやばいですねー……

急遽、此処でテクト移行の魔術を使わなきゃ駄目ですかねー……』

口調ではまるで暢気で余裕綽々の様に聞こえるキャルナスさんだが、此でも焦っているのだ。

苛立ちを隠せずに、眉間に深い皺を寄せている。



『……僕に考えが有る……』

後ろから鎖葉斗君の、足音にすらかき消されそうな声がした。

『……貴方の考えを聞きましょう。

浅薄な考えだったら、直ぐに否決しますけど。』

キャルナスさんが素早く応答する。

鎖葉斗君の唾を飲み干す音が聞こえ、私の背まで緊迫感を感じ始める。

『先ず……』

彼はゆっくりと話し始める。

其のか細い声で彼が話している時間はとてもゆっくりと流れていた。






『万里! 万里!』

独楽は図書館を出て、辺を見渡す。

だが、有るのは彼女の姿では無く、壊れた機械人形の残骸。


ゴォォ


何かと何かが強くぶつかり合う音。

幾度も聞き慣れた、刃と刃の合間じる轟音。

特に此の音は聞き慣れていた。

『万里!』

赤月の刀の使い方には癖が有る。

稽古を何度もつけて貰い、ようやっと気付いた彼女の癖。

敵の手首を狙い、武器を手から離させる戦法。