銀鏡神話‐翡翠の羽根‐



パリィ


防御壁が外からの私の力と、中の新人さんの力の両挟みにより、割れ、散り散りになる。

『至急、援軍ヲ要請シ』

声が何の痕跡も無く、緩やかに切れた。

女型機械人形の頭部が宙を舞うと、次には爆発した。

頭部を無くした躰の方も、後を追う様に爆発する。

『鎖葉斗君!』

女型機械人形を倒したのは鎖葉斗君だった。

手に握る鎌が何よりの証拠だ。

『僕だけ……

何もしないのは罪悪感が有ったから。』

口ではそう言う鎖葉斗君だったけど、私は嬉しかった。

『有難う。』

小さな声で鎖葉斗君がだからっ、と反論しようとしていたけど、キャルナスさんが彼の頭を軽く小突いた。

『このまま突っ切れば空間転移盤は直ぐ其処だよねっ!』

新人さんが爆炎に汚れた服を手で払いながら言った。

見習って私も少し服を払ったが、砂埃が服から大量に出る。

『よし、行こう。』

私は払い終わると、爪先の向きを二十六番地に向け、走り出した。






『あ、独楽だ。』

『? ウィオか。

珍しい。』

未だに図書館で侵入者が捕まるまで時間を潰そうと、独楽は興味の無い本をひたすら読み続けていた。

そんな中、支配下議会にも禄に参加しないせいか、他の支配下達と面識が少ないウィオ・シェルダンと遭遇してしまった。

『独楽は相変わらずサボりなの?』

ちょこん、と独楽の横に座ると、ウィオは楽しそうに頬杖をついた。

『ああ。侵入者は適当に警備の奴らが捕まえてくれっだろ。』

退屈そうに独楽は赤月が好きな恋愛小説を読む。

勿論、好きな人と趣味を合わせる為だ。

本当は彼は甘ったるい恋愛小説など、豆粒ほども興味は無い。

『あー、何か結構、大変な事になってるよー。

キャルナスに七瀬に……あ。

確か赤月さんもいたなー。』

『万里が!?』

本を勢いのあまり閉じ、独楽は立ち上がった。

『うん。

結構、怪我してたよー。

このままだと死んじゃうかもねー。』