銀鏡神話‐翡翠の羽根‐

『……っ。』

『きゃ、キャルナスさんっ』

数回、咳き込んだ後に、キャルナスさんは跪いた。

直ぐに右手で口を塞いだから良く見えなかったけど、血が垂れていた気がした。

『大丈夫?』

鎖葉斗君も血に気付いたのか、ハンカチを差し出した。

『大丈夫です。

いやあー、少し無茶しすぎちゃいましたね。』

ハンカチで口周りを拭うと、洗って返しますね、と鎖葉斗君に、何時もの様に笑いながら言った。

『まぁ此で私達、四人は共犯者ですからねー。』

そう言えばそう。

バレたら只じゃ済まない事を私達四人はしてるんだよね。

『わ、私まで共犯なの!?』

何でって顔をしながら、新人さんが自分を指差した。

『勿論、貴女もですよ。

まさか、自分だけ無関係だなんて思ってませんよね?』

『……っ!

私、貴方の事、嫌いです!』

『結構ですよ、結構。』

『!!』

何か二人はやけに仲が悪い。

一方的に新人さんが怒って、キャルナスさんが笑い流してる風にしか見えないけど。

『では、空間転移盤が有る、十二番地に向かいましょうか。』

十二番地迄の道のりは一方通行。

此処から走って一分の二十三番地。

其処の王立図書館前を通って、直ぐ横の二十六番地に転移盤は有る。

誰にも会わないと良いけれど。






『侵入者、発見。

並ビニ……

支配下三名、発見。

ドウシマス、マスター?』

王立図書館の屋上の庭園。

硝子細工で出来た高級感溢れ出る椅子に腰掛けた、小学校高学年くらいの少年は、同じく硝子細工の机に突っ伏しながら、行儀悪く古本に読みふけっていた。

隣には枕くらいの箱型の機械が浮かび、喋っていた。

『支配下三人って誰?

侵入者を追い詰めてんの?』

黒いタキシードに赤いリボンの、歳のわりに、やけにませた服装だった。

頬にはスペードのマークが描かれている。

瞳は草色と紅葉色のオッドアイ。