銀鏡神話‐翡翠の羽根‐

顔色変えず、何時もの様な冷静さでキャルナスさんはそう言った。

人……か。

人って一体、何なんだろう。

誰を人って言うのだろう……

私には解らない。

『貴方は……僕の味方なの?』

次の鎖葉斗君の問いに、キャルナスさんは首を傾げた。

『さあ? 解りませんね。

貴方がどんな人かに選りますね。

私、こう見えて人嫌い激しいんですよー。』

解らなくもない。

此の人、嫌いな人には滅法、冷たい。

No.4の聖 遊(ひじりゆう)や、No.1の神灯が良い例。

塵を見る目で見てるし。

『貴方は、何を探してるんですか?

私は其れが知りたい。』

キャルナスさんがあくまでも穏やかな口調でそう言う。

鎖葉斗君は喉に何かを詰まらせたような、渋い表情を一瞬したが、直ぐにこう言った。

『僕は、ボクを探しに来たんだ。』

『自分を?』

訝しげにキャルナスさんが聞き返し、彼は無言で頷いた。

私はただ二人のやり取りを外野で眺めるだけ。

だって、何だか二人は私と住む世界が違うみたい。

価値観が違う。

余程の修羅場を潜り抜けて来たんだろうな……

其れから鎖葉斗君は自分の今までの経緯を語った。

目が覚めたら其処は傭兵を生み出す為の実験施設で、記憶は何一つ無い。

突如、妹と名乗る少女が現れた事、リアノと云う女の人から貰った白露 鎖葉斗と云う名前を使い始めた事、同じく赦雨薇唖をリアノから貰った事、そして……爾来様に逢って話をした事。

『嘘……』

何となく、爾来様と似ている気がしてならなくて、鎖葉斗君を助けた。

兄弟だ……

似ているに決まってる……

『爾来様がそんな酷い事言うかな……?』

優しい爾来様。

貴方がそんな事言うはずがない。

鎖葉斗君が嘘をつく訳がないけど、私には信じられなかった。

『本当じゃないんですか。

爾来はそんな人だ。

支配力を自我の欲望の為に意のままに扱う。

あの人のせいで、どれくらいの鏡界の民が死んだか知ってます?』