銀鏡神話‐翡翠の羽根‐

『へ?』

そうだ。

相手はキャルナスさんだったんだ。

支配下の中でも変わり者。

普通の支配下と一緒に考えたのが間違いだった。

『私、鎖の破片君を助けたいんです。

捕まってほしくないんです。』

私がそう言うとキャルナスさんは意地悪げに笑った。

『爾来様大好きな赤月さんなのに、珍しいですねー。』

『なっ!? 爾来様は尊敬してるだけですからっ!』

何で此の人知ってんだ?

私はそりゃあ爾来様の事が好きだけど……

『大丈夫ですよ、皆知ってますから。』

『嘘!?』

『本当です。』

にっこりとキャルナスさんはそう言うと、貴女みたいな解りやすい人は滅多にいませんから、と付け足した。

(むぅ……

絶対、キャルナスさんに好きな人が出来たら、からかい返してやる……)

私がそんな事を思っていたら、キャルナスさんは鎖葉斗君に視線を移した。

『どうも。』

軽く会釈したキャルナスさんを鎖葉斗君は疑わしい眼差しで見た。

『貴方は誰?

其の魔力……、支配下の中でもずば抜けてる。

僕は初めてだ。

君みたいな人の領域を超えている人を見るの……』

キャルナスさんは確かに凄い。

まこに少しキャルナスさんの話をしてもらった事が有る。

何でも昔から魔界を治める貴族の血筋で、更に生まれつきの特異な死神の躰を持ち合わせているからとか……

でも、キャルナスさんはそんな力要らなかったって、前愚痴をこぼされた。



『要らない力で、人の上に立って……

下の人は私を憎む……

私は、其れが酷く哀しい……』



彼の言っていた事は、爾来様が言っていた事と疑似している。

だから私はキャルナスさんの事は実は尊敬してたりする。

でも何処までも中途半端な性格は改善した方が良いと思うけど。

『私は……キャルナス・シャルドネ。

支配下の五番目の地位に就く、只の“人”ですよ。』