銀鏡神話‐翡翠の羽根‐

「どういう事何だよ?
勿論、説明してくれるよな!?」

僕は赤月に目配せする。

赤月は笑顔で頷いた。

そうか……

確信を見つけたんだ。


「寒いから、暖炉の部屋……入りたい。」

僕がそう言うと独楽は立ち上がり、屋敷の扉を開けた。

一瞬苔臭さがした。

壁の赤煉瓦も何だか今にでも外れそうなくらいボロボロだし。

相当此の屋敷、古いみたいだ。

錆びた銀の階段を上って、一番最初に目についたのは、薄紫の硝子扉。

硝子越しに見た感じ、其の部屋は書斎だった。

僕は隣の暖炉の部屋を無視して、自分でもよく解らないけど、其の書斎への硝子扉を開けた。

「? 白露?」

独楽に肩を掴まれ、正気に戻った。

何だろう。

あの書斎には何かある気がしてならない。

「何でも……無い。」






「あたしはね、二年前の今日ね……」

そうか……

独楽の言っていた今日は……

本来的に言う赤月の命日だったのか。

「鎖葉斗君が爾来様を殺そうとやって来た……

私達は戦った。

でもね……」






『万里!!』

まこの声が聞こえた。

味方が応援に来てくれたのに、まずいと思った。

だって、このままでは鎖葉斗君が連れて行かれてしまうから。

『鎖の破片……くん。

逃げよう……』

『え……』

素っ頓狂な表情をして、鎖葉斗君は私を見た。

そりゃそうか。

今まで戦ってた相手がいきなり一緒に逃げよう何て言い始めたんだ。

『貴方が捕まったら、何か嫌なの!

だから、早く逃げよう!』

『僕、足がもう……』

情けないくらい子供じみた声で、鎖葉斗君は足を抑えた。

捻ったのか、赤く腫れている。

『おぶさって!』

『は、はぁ?』

顔を赤くし抵抗する鎖葉斗君を無理矢理担ぐと、私は走った。

下へ飛び降りた。

母屋の屋根に上手く着地できた。

瓦造りの屋根は、少しバランスが偏っただけで崩れそうになった。

けど気にしてはいられない。

一心不乱で走った。